
同じロープアクセス技術でも、【IRATA技術】と【SORAT技術】では、技術の目的、移動方法、安全確保の考え方、技術者の育成、使用する機材、チームの構成などに違いがあります。
見た目には同じようにロープを使って高所・難所へアクセスしていますが、実際には、それぞれ異なる考え方のもとで発展してきた技術です。
【IRATA技術】
世界的に普及しているロープアクセス技術
建設・産業分野をはじめ、高所・難所にある作業箇所へ作業者(Technician)がアクセスするための技術として、世界各地で利用されています。
移動は上下方向を主体としており、資格取得者がロープを使って目的の作業箇所へアクセスし、そこで必要な作業を行います。
資格制度や訓練方法が国際的に体系化されていることも特徴で、きぃすとんでは、SORATと比較すると技術資格の取得は比較的取り組みやすいものと捉えています。
安全確保には、原則として2本のロープを使用します。
1本は移動や作業に使用するWorking Line、もう1本は万一に備えるSafety LineまたはBackup Lineです。
メイン側のシステムに問題が生じた場合でも、もう1本のロープで墜落を防ぐ考え方で、きぃすとんではこれを分かりやすく「2本確保」と表現しています。
資格取得者の所属や働き方もさまざま
例えば、個人や小規模な会社に所属する技術者が、案件ごとに各地から集まり、現場単位でチームを編成することがあります。作業が終了すれば、それぞれが所属先や次の現場へ移っていきます。
ロープアクセスに使用する機材についても、現場によっては、資格取得者の個人所有ではなく、雇用者が準備・管理し、資格取得者へ貸与される形で使用されています。
世界共通の資格制度と技術体系が整えられているため、異なる会社や地域に所属する技術者でも、共通の基準のもとでチームを構成しやすいことは、IRATAの大きな特徴の一つです。
【SORAT技術】
きぃすとんが日本で開発した3次元ロープアクセス技術です。
主に橋梁、ダム、のり面などのインフラ点検で使用されており、点検技術者(Engineer)が高所・難所にある多数の点検箇所へ、安全・迅速・確実にアクセスするための技術として発展してきました。
最大の特徴は、上下方向だけでなく、左右・前後を含めて3次元的に自由自在に、かつ迅速に移動できることです。
インフラ点検では、1か所へ到達すれば作業が完了するわけではありません。
橋の裏側を横へ移動したり、そこから上へ移動したり、構造物を回り込んだりしながら、多数の点検箇所へ次々にアクセスする必要があります。
SORATは、このようなインフラ点検の現場で求められる複雑な移動に対応するために開発されてきました。
技術資格の取得は、比較的に容易ではなく、一定の訓練・経験を要します。
安全確保については、原則としてメインロープ1本を使用し、そのロープを2か所の支点で確保します。
1点での確保に問題が生じた場合でも、もう1点で確保する考え方で、きぃすとんではこれを「2点確保」と呼んでいます。
IRATAの「2本確保」に対して、SORATは「2点確保」。
この「2点確保」という考え方を取り入れることにより、安全を確保しながらロープシステムをシンプルにし、上下左右前後への迅速な3次元移動を実現しています。
ロープアクセスに使用する機材についても、SORATでは特徴があります。
ロープを含む機材は、資格取得者自身が日常的に使用・管理しています。自分が普段から使い慣れている機材を使用し、その状態を日常的に把握しながら、点検やメンテナンスを行っています。
機材を現場で初めて手にするのではなく、普段から使用し、管理していることも、SORATの安全を支える要素の一つです。
SORATの技術を持つ資格取得者「空人(そらっと)」は、全員が株式会社きぃすとん及び、きぃすとんグループの一員です。
現在は約60名が所属しており、案件ごとにその中からチームを編成し、日本国内のインフラ点検現場で活動しています。
現場ごとに外部から資格取得者を集めるのではなく、同じ組織の中で技術、経験、安全に対する考え方を共有しているメンバーでチームを構成していることも、SORATの特徴です。
また、SORATでは単に高所・難所へアクセスすることだけが目的ではありません。
ロープを使って点検対象へ近づき、自分の目で見て、必要に応じて触れながら、構造物の状態を確認します。
そのため、SORATで求められるのは、単なるロープ作業者ではなく、ロープアクセス技術を身につけた点検技術者(Engineer)です。
無事故記録を更新しています。
技術開発から30年以上になりますが、きぃすとんでは現在も無事故記録を更新しています。
さらに、SORATは国内だけでなく、海外での活用も視野に入れています。
外国語に対応できるメンバーによるチーム編成も可能で、IRATAによる一般的な上下移動中心のアクセスでは対応が難しい高所・難所への迅速な3次元移動や、インフラ構造物を対象とした丁寧で確実な近接点検を得意としています。
【IRATA技術】と【SORAT技術】。
どちらもロープを使って高所・難所へアクセスする技術ですが、目的、移動方法、安全確保の考え方、技術者の育成、使用する機材、チームの構成まで含めて見ると、その特徴は大きく異なります。
同じロープアクセス技術であっても、似て非なるもの。
それが、IRATA技術とSORAT技術の違いです。