KEYSTONE CORPORATION
ロープアクセス技術で、世界のインフラを守ります。
「ロープが1本しかない」「法律違反ではないか」「1本で本当に安全なのか」——私たちの活動を見て、そう感じた方もいるかもしれません。SNSでもよく見かける指摘です。
2本あった方が安全。その感覚は、自然なものかもしれません。しかし私たちは、安全性をより高めるために、1本を選択しています。
SORATには独自の安全確保3原則と厳格な資格制度があり、1本ロープだからこそ実現できる高い安全基準が確立されています。その詳細は後述しますが、創業以来35年間無事故という事実が、何よりの証明です。
そして、この技術は決して法律違反などではなく、 日本の法律(労働安全衛生規則)に、一定条件を満たした場合の1本ロープ使用が明記されており、SORATはその条件に準拠しています。
安全第一という思想は、私たちも全く同じです。だからこそ、なぜSORATが1本ロープという方式を採用しているのか、説明いたします。
日本のインフラ点検は、極めて高い品質が求められます。単純な上下移動では完結しません。
例えば橋梁点検では、橋の裏側へアクセスするためには横方向への移動が必要であり、複数の支点を設ける必要があります。もちろん、足場を組む現場も、橋梁点検車のエレベーターを使う現場もあります。
しかし現場の事情はさまざまであり、常に同じ方式が使えるわけではありません。アクセス方法は現場条件によって選択されます。
その選択肢のひとつとして登場するのがロープアクセスであり、日本の高度なインフラ点検基準に対応できる方式がSORATです。
日本は世界有数の地震大国です。その現実に対応するため、日本の道路インフラ構造物は独自の耐震設計が施されており、それが点検作業を複雑にしています。
2012年の笹子トンネル天井板落下事故を契機に、道路構造物の維持管理体制は大きく見直されました。これにより橋梁を含む道路構造物について、5年に1回の近接目視による定期点検が全国で義務化され、損傷を早期に発見するための体制が整備されました。
具体例としては、地震時に橋桁が落下しないよう設置される落橋防止構造、地震の水平力を複数の橋脚に分散させる水平力分散構造、橋脚頭部と桁の間に設けられる支承部、さらに地震後の路面段差を防ぐ段差防止構造など、多様な附属構造物が橋の裏側空間に密集しています。
2016年の熊本地震では、特殊なロッキング橋脚を採用していた橋梁で落橋が発生しました。この出来事は、耐震設計の考え方や既設橋梁の安全性について改めて検証する契機となり、その後全国で橋梁の耐震補強や安全対策の見直しが進められてきました。
このような事故や災害の教訓が積み重なるたびに橋梁構造はより高度化し、結果として橋梁の裏側空間はより複雑なものになっています。
点検技術者はこれらの構造物を縫うように移動しながら、損傷・腐食・亀裂などを近接目視しなければなりません。単純な上下移動だけでは到達できない箇所が多数存在します。これが、日本の橋梁点検において三次元的な移動が不可欠である理由です。
IRATAという、2本を前提とした、国際的に広く普及したロープアクセス技術体系があります。その技術を否定するわけではありません。
日本の橋梁の裏側、耐震構造物が密集し、縦・横・斜めと複雑に入り組んだ空間での3次元移動において、ロープと固定点の管理が複雑になればなるほど、ヒューマンエラーのリスクが高まるという現実です。
どの方式であっても、複雑さはリスクであるという、安全工学における普遍的な原則の話です。SORATは、その複雑さを日本の現場に合わせた方法で解決するために生まれました。
ではSORATはどのようにこの複雑さを解決しているのか。その答えは、「ロープ1本・支点2点以上」という発想にあります。この考え方が、日本の橋梁点検などのインフラ点検の現場構造と見事に合致しています。
① 2点確保の大原則
SORATでは常に最低2点の支点で確保します。万が一、片方の支点での確保が失われても、もう一方が残っているため墜落しません。移動の際は、まず移動方向に新たな支点を設置し、一時的に3点で確保した上で元の支点を解除します。
これにより、落橋防止構造や支承部が密集する橋梁裏側の複雑な空間でも、安全を保ちながら自在に3次元移動が可能になります。支点を増やすことで安全と機動性を両立しています。
② 作動チェック
下降器・登高器の正常作動を、作業前に必ず点検します。器具が正常であることを確認してからでなければ、いかなる作業も開始しません。
③ 仮荷重テスト
支点の強度を事前に検証し、安全な作業を実施します。実際に荷重をかけて固定物の堅牢性を確認することで、支点破壊のリスクをゼロに近づけます。橋梁の耐震補強構造物など、形状が複雑で確認が難しい固定物に対しても、このテストが有効に機能します。
これら3原則が「いかなる場合でも絶対に」実行されること——それがSORATの安全確保の根幹です。そして創業以来35年間、無事故を継続しています。これが、SORATの設計思想の正しさを証明する、最も雄弁な事実です。
バックアップロープは、そのロープ自体が完全な状態でなければ意味をなしません。どれだけ本数を増やしても、品質が保証されていなければ、それはただの飾りです。
ロープはそう簡単には切れません。耐荷重は2tを超え、外的接触を避ける運用を徹底しています。そしてSORATでは、ロープの品質管理を厳格に義務付けています。作業前と作業後に必ずロープ全長にわたって表面・内部の状態を確認し、一定期間を経過したものは性能の劣化を待たず廃棄します。常に新品と同等の品質を維持すること、これが絶対条件です。
ロープを踏んだり、粗末に扱うことはもってのほかです。自分の命を預けるものとして、日常の取り扱いから敬意を持って接することが、SORAT技術者としての基本姿勢です。
固定物についても同様です。事前に仮荷重テストを行い、2か所以上の堅固な固定物を選定してロープを結束します。これによりリスクを限りなく減らすことができます。
品質不明のロープを複数本使うより、完全な状態が保証された1本の方が安全です。ロープを常に新品同等の品質で使うこと、それ自体が最強のバックアップです。
「ロープ1本は法律違反ではないか」、SNSでもよく見かける指摘です。答えはNOです。
日本の法律、安全衛生規則の附則において、ロープを確実に固定し外的接触による切断を防ぐことを条件に、1本ロープの使用が公式に認められています。
日本のインフラ現場の実情に即して開発され、法的・技術的に正式に認可された方式です。
(※法令リンク・リーフレットはこちら)
1本ロープにこだわっているわけではありません。電動工具の使用時、強風時など、ロープ切断リスクがあると総合的に判断した場合は2本を使用します。お客様からのご要望にも当然対応します。外壁関係の現場では2本使用のケースも多くあります。
また、2本のロープを活用した「Vリグ」という技術も積極的に使用しています。現場に応じた最適な方法を選択することが、私たちの基本姿勢です。
SORATには厳格な技術資格制度があります。定められたトレーニングを修了し、試験に合格した者だけが、ロープを使った現場活動を認められます。私たちは全員がその資格保有者です。
多くの方が挑戦し、合格に至らなかった方もいます。それほど高い基準を設けているのは、安全を担保するのは技術者自身の能力であるという信念があるからです。
私たちの動画や投稿を見て、「自分でもできそう」と感じる方がいるかもしれません。しかし、画面に映っているのは、長期間の訓練と厳格な審査を経た資格保有者が、入念な事前確認のもとで行っている作業です。
見た目のシンプルさこそが、SORATの高度さの証明です。簡単そうに見えるのは、技術が洗練されているからであり、誰でもできるからではありません。
資格なく、訓練なく、同じことを試みることは、命に直結する重大な危険行為です。動画を参考にした独自の実施は、絶対にしないでください。
ロープ1本の是非を語る前に、その1本を扱う人間の質が問われています。SORATはそこに妥協しません。
私たちは、決して他のロープアクセス技術を否定しているのではありません。垂直方向のアクセス作業において、2本ロープ方式は優れています。しかし日本のインフラ点検は、それとは異なる課題を抱えた現場です。
SORATは、日本の現場で実際に存在する問題を解決するために設計された技術です。安全と点検品質、その両方を妥協なく追求しています。
安全への思想は、世界共通です。今日もご安全に。