橋梁点検において近年注目されているのがドローン点検です。撮影による記録のしやすさや、「最新技術」としての評価から、国交省の補助事業でも採用されやすいという一面もあります。
しかし、現実はそれほど単純ではありません。「ドローンだけでは不十分」というのが、橋梁点検の現場で共有されている認識です。
ロープアクセス点検が必要な理由
ロープアクセス技術を用いることで、ドローンでは不可能な詳細調査や実作業が可能になります。当社では、国交省定期点検要領に準拠した点検を実現するために、ロープアクセスを採用しています。
ドローンでは対応できない主な点検項目
1. 国交省定期点検要領に基づく点検内容
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たたき点検・触診
・浮きの確認
・剥離箇所のたたき落とし(第三者被害防止措置)
・F11Tボルトなどの緩み確認 -
狭小部(桁端部など)の点検
ドローンでは進入困難なエリアも、ロープアクセスなら確実にアプローチ可能です。 -
塗膜調査
劣化や剥離を確認するには、実際に触れて確認する必要があります。 -
異常な音・振動の把握
目視だけでは判断できない不具合も、ロープアクセスでなら現場で直接確認できます。 -
土砂や植生の除去
物理的な除去作業は、当然ながら人の手による作業が必要です。
2. 補修設計に必要な詳細調査
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部材の実測
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磁粉探傷検査・コア採取
これらは補修方針の検討に不可欠であり、現地での精密作業が求められます。
3. ドローンが使えない環境への対応
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飛行禁止区域(空港、跨線橋など)
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夜間点検
ロープアクセスなら、飛行制限や照度制限の影響を受けず、夜間や特殊条件下でも安全に作業できます。
「ドローンの方が安い」は思い込み
よくある誤解が、「ドローンの方が安く済む」という認識です。実際には、撮影後のデータ解析や専門家のチェックが必要で、トータルコストはロープアクセスと大差ありません。
むしろ、ドローンの方が「人が作業しない=接触点検できない」ため、国交省定期点検要領の要件を満たさず、別途追加点検が必要になるケースすらあります。
ロープアクセスの安全性と信頼性
「ロープアクセスは危なそう」と不安に思われる方もいますが、当社(株式会社きぃすとん)は35年以上の無事故実績を誇ります。
高所作業車や足場を使わず、省人力・高精度・高対応力で確実な点検を実現しています。
ただし、ロープアクセス業界全体には課題もあります。
未経験業者の参入、施工スキルや安全意識の不足、点検の精度に不安があるなど、粗悪な業者の存在が問題視されています。
業者選びがすべて――といっても過言ではありません。
適切な業者選定とご相談は「ロープアクセス技術協会」まで
信頼できる業者選定のご相談は、ロープアクセス技術協会(SORAT)が承っております。
安全で確実な橋梁点検を実施するために、ぜひお気軽にお問い合わせください。
📩 お問い合わせ先:keystone@rope-access.co.jp